AIを使って、中小企業の「ちょっと困った」を減らせないか考えています
BiNDismとしてホームページ制作の仕事を始めてから、もう14年以上になります。
これまで、クリニックや士業事務所、整体院など、比較的小規模な事業者さんのホームページを多く作らせていただいてきました。
ホームページを作る仕事なので、当然、打ち合わせではデザインや掲載内容について話します。
でも、長くお付き合いしていると、それ以外の話を聞くことも結構あります。
「電話で同じような問い合わせが何度も来るんだけど、そのたびに仕事を止めて対応しないといけない」
「問い合わせフォームを置いても、営業メールばかり来る。フォーム自体なくそうかな」
「パートさんが辞めて、新しく入った人がまだ問い合わせに答えられないから、結局自分が対応しないといけない」
そんな話です。
大きな会社なら、問い合わせを担当する人がいたり、マニュアルを整備したり、専用のシステムを導入したりできるのかもしれません。
でも、小さな会社やクリニックでは、そう簡単にはいきません。
院長先生や社長さん自身が、本来の仕事をしながら電話にも出て、メールにも返信して、スタッフから聞かれたことにも答えている。
ホームページ制作を長くやっていると、そんな場面を何度も見てきました。
AIは知っている。でも、自分の仕事で何に使えるんだろう
ここ1〜2年で、AIの話を聞かない日はないくらいになりました。
お客さんと話していても、ChatGPTを知っている人はかなり増えています。
実際に使っている人もいます。
ただ、
「メールを書くときに文章を考えてもらっています」
「ちょっとわからないことを聞いています」
という使い方が多くて、
「自分の会社だったら、AIを何に使えるんだろう?」
というところになると、よくわからない。
そんな人が多いように感じています。
これは当然だと思います。
毎日本業で忙しい人が、次々に出てくるAIのサービスを調べて、「これは自分の会社のこの業務に使えそうだ」と考えるのは、なかなか大変です。
私自身もAIの専門家として仕事をしてきたわけではありません。
ずっとホームページを作ってきた人間です。
ただ最近、自分の仕事でAIをかなり使うようになりました。
そこで感じているのが、
1年前に「こんなことができたらいいな」と思っていたことが、今はかなり現実的になっている
ということです。
「これ、お客さんのあの困りごとに使えるんじゃないか」
AIをいろいろ使っていると、ときどき昔お客さんから聞いた話を思い出します。
「ブログを書いた方がいいのはわかっている。でも忙しくて書けない」
だったら、文章を書く時間を作らなくても、話した内容から記事を作れないだろうか。
そんなところから作ってみたのが、TalkSeedです。
スマートフォンに向かって5〜10分ほど話してもらい、その内容を記事にして、WordPressへの投稿まで行う仕組みです。
「AIを導入しましょう」というところから考えたのではなく、
これまで聞いてきた困りごとに、今のAIなら何ができるだろう
というところから考えました。
そして今、もう一つ作っているものがあります。
「その会社のことを知っているAI」を作れないだろうか
今試しているのが、会社や医院ごとの情報を蓄積して、AIがその情報をもとに回答できるKnowledge Baseです。
たとえばクリニックなら、
「初診でも予約できますか?」
「駐車場はありますか?」
「この症状は診てもらえますか?」
といった問い合わせがあります。
ホームページに書いてあることなら、AIがそこを探して回答する。
ホームページには掲載していないけれど、スタッフなら知っていることも、Knowledge Baseに登録しておけば回答できる。
そんな仕組みです。
これができれば、ホームページにAIチャットを置いて、患者さんやお客さんからの簡単な問い合わせに24時間答える、といった使い方ができます。
もちろん、何でもAIに答えさせればいいとは思っていません。
特に医療などでは、人が答えるべきこと、AIに答えさせてはいけないことをきちんと分ける必要があります。
でも、
「診療時間は?」
「駐車場は?」
「予約方法は?」
といった、ホームページを見ればわかる問い合わせまで、忙しい時間に電話で何度も対応しているのであれば、AIに手伝ってもらえる部分はありそうです。
お客さん向けだけではなく、社内でも使えるかもしれない
作りながら、もう一つ可能性を感じています。
Knowledge Baseは、お客さんからの問い合わせだけではなく、社内の情報共有にも使えるのではないかということです。
新しいスタッフが入ったとき、
「こういう問い合わせが来たらどう答えるんだっけ?」
「この場合は誰に確認するんだっけ?」
「この作業の手順は?」
ということがあります。
ベテランのスタッフなら知っている。
でも、新しく入った人にはわからない。
そのたびに院長先生や社長さん、ベテランスタッフに確認する。
以前聞いた、
「新しい人がまだ一人で問い合わせに対応できないから、結局自分がいないとダメなんです」
という話も、こういう仕組みがあれば少し変えられるかもしれません。
社内マニュアルをAIに持たせて、
「こういう場合はどうするの?」
と聞けば、その会社で決めているやり方を答えてくれる。
そんな使い方です。
大がかりな「AI導入」じゃなくてもいいと思っています
AIというと、
「業務改革」
「DX」
「AIコンサルティング」
といった、ちょっと大きな話になりがちです。
もちろん、大きな会社ではそういう取り組みも必要だと思います。
でも、私がこれまで関わってきた中小企業やクリニックでは、もう少し違う入口があってもいいんじゃないかと思っています。
電話が少し減った。
ブログを書く負担が減った。
新人さんが自分で確認できるようになった。
社長さんや院長先生が、毎回同じ説明をしなくてよくなった。
一つひとつは小さいかもしれません。
でも、人手が限られている会社では、こういう「ちょっと楽になる」が積み重なることには、結構意味があると思っています。
ホームページを作るだけではなく、その先も考えてみたい
BiNDismはこれまで、BiNDupを使ったホームページ制作を中心に仕事をしてきました。
それはこれからも大切な仕事です。
ただ、ホームページを作って納品するだけではなく、
WebやAIを使って、お客さんの仕事そのものを少し楽にできないだろうか。
最近は、そんなことを考える時間が増えています。
AIの進化は本当に速いので、半年後にはまた違うことを言っているかもしれません。
だからこそ、最初から完成形を決めてしまうのではなく、
「こんなことができたら役に立つんじゃないか」
と思ったものを、まず自分で作って試してみる。
TalkSeedもその一つですし、現在作っているKnowledge Baseもその一つです。
まだKnowledge Baseは開発・検証中です。
実際のホームページの情報を読み込ませたり、複数のホームページを持つ会社でも情報をきちんと区別して回答できるようにしたりしながら、少しずつ形にしています。
うまくいかなければ直す。
実際に使ってみて必要なものが見つかれば追加する。
しばらくは、そんなことを繰り返してみようと思っています。
もしこの記事を読んで、
「うちだったら、AIでこんなことできない?」
と思うことがあれば、よかったら聞かせてください。
まだサービスになっていないことでも構いません。
これまでホームページ制作を通じて聞かせてもらった何気ない一言が、今になって「あれ、AIならできるかもしれない」とつながることがあります。
次に作るもののヒントは、案外そんなところにあるのかもしれません。
